高専からの大学編入ってどんな感じ?簡単って聞くけど本当?【現役高専生が解説】
こんにちは。現役高専生のふゆです。
今回は、大学編入について詳しく紹介していきたいと思います。ぜひ最後まで見ていってください。
大学編入とは
ところで大学編入ってなに?
大学入学までの流れは、高校に3年間通い、センター試験や2次試験などの入試を受けて、合格した大学に1年生として入学するのが一般的ですよね。
しかしこれでは、高専生が卒業した後で大学に入学すると、留年や浪人をしていなくても他の入学者よりも2年遅れで入学することになってしまいます。
そこで、高専生のほとんどは大学編入をして大学に進学しています。
この制度は、高専生だけでなく短大を卒業予定の人や、他の大学に通う2年生も対象です。
高専でも学ぶ高校、大学レベルの数学や物理、化学や英語などの試験や面接、小論文など、学校ごとに異なる入学試験を受けて、合格すれば大学3年生として入学することができます。
入試について詳しく知りたい!
ここからは入試の種類と詳しい内容について説明していきます。
入試の種類
編入学試験には、一般入試と推薦入試があります。
学校によってはどちらか片方のみを実施していたり、そもそも編入学を募集していない学校もあります。
また、私立大学の編入学試験では指定校推薦などもあります。ただし、高専からの編入学生のほぼ全員が国公立大学に進学するため、今回は取り上げません。
一般入試の内容
編入学する場合、一般入試を受けることがほとんどです。
高専生であれば東京大学や京都大学、大阪大学といった最難関と言われるような国立大学を受験することもできます。
試験内容は大学によってばらばらで、10分程度の面接だけの学校もあれば、筆記試験(数学と物理、専門を数科目)と面接を2日間かけて行っている学校もあります。難関大学と言われる大学ほど試験科目は多く、内容も難しい傾向があります。
また、多くの大学で英語の試験の代わりに、事前に受けたTOEICのスコアを利用しているのも特徴です。
推薦入試の内容
推薦入試は、ほとんどの大学で「クラス内順位上位○%以上」という出願要件があります。学校によって何パーセントかは異なり、5%としている学校もあれば、30%や50%としている学校もあります。また、どの学年の成績から判断するかも学校によって異なります。
加えて、一般入試がなく推薦入試のみとしている学校や学科、特定の高専からのみ推薦を受け付けている学校などもあります。
こうした要件は、各学校ホームページの編入学募集要項に書かれているので、自分の受けたい大学をチェックしてみてください。
当日の試験は「口述試験」とよばれる面接の中で数学や英語、専門科目の知識を聞く試験のみとしている大学が多いです。
この口述試験と成績や推薦書、学校によってはTOEICスコアや小論文も含めて合否が決まります。
合格すれば「入学確約書」というものを提出するため、他の学校に行くことはできません。
入試のしくみについてはよく分かったよ!
じゃあ、編入学のメリットとデメリットって何だろう?
ここからは大学編入のメリットとデメリットについてまとめていきます。
大学編入のメリット
少ない入試科目で受験できる
一般的に、国立大学を受験するときは5教科7科目の共通テストと大学独自の2次試験を受けます。そのため入試の範囲が広く、対策に時間がかかります。
一方で、編入試験では数学、物理、英語の3教科のみで受けられる学校もあり、試験は学校ごとに1回で済みます。しかし、専攻している分野の専門科目のうち、数科目が数学物理英語にプラスで出題される入試も多く、一概に入試科目が少ないとは言えません。
国公立大学に複数出願できる
編入学を実施している大学は、その多くが国公立大学です。どの大学も独自の日程と試験内容を設けて入学者を選抜しているので、入試日程が重ならなければ何校でも出願できます。
これによって、国公立大学を滑り止めにした受験が可能になり、経済的な負担が少なく進学できる可能性が高くなります。
ただし、大学によっては合格発表後数週間から2カ月程度で入学確約書の提出が必要で、こうした大学を併願する場合は合格発表日と確約書提出日を確認しながら受験校を選ぶ必要があります。
大学編入のデメリット
工学系以外には編入しづらい
編入試験を実施しているのは工学部が多く、また、工学部以外への編入にはその専門科目の勉強が必要になるため工学系以外には行きづらいのが編入のデメリットです。
しかし最近では理学部や文理融合系の学部で、高専生も多く合格している編入試験もあります。
また、学科・専攻ごとに異なる専門科目を設けている大学が多いため、「高専では機械工学を学んでいたけれど、大学では都市工学を学びたい」といったことも難しくなっています。
編入後に留年することがある
編入する際、高専で取得した単位の一部を大学での単位として認定してもらう「単位認定」という仕組みがあります。大学によっては、ここで認められる単位数が編入する大学に元からいる学生よりも大幅に少なくなります。
編入する際、学科や学部を変えた人はこうしたことが起きる可能性が高く、留年が必要になることがあります。そのため、編入する際に専攻を変えることには注意が必要です。
模試がない
編入試験は一般の大学入学試験に比べ受験者が少なく、大学ごとに問題も異なるため模試が存在しません。
また、配点や採点基準、合格最低点も不明瞭な大学がほとんどで、過去問を解いても合格圏内かどうかが分かりづらくなっています。
そのため、自分がどの大学に合格できるような学力レベルかを客観的に判断することが難しくなっています。
募集定員が少ない
編入試験のほとんどは募集定員を若干名としていて、合格者が少ないうえに年によるばらつきも大きいです。
編入試験の受験者が増える一方で、募集定員はほとんど変わらないため、編入試験の難易度は年々高くなっています。
また、複数校に合格した受験生が、本命校以外を蹴ることによる、実質的な定員減少も深刻です。
試験難易度のばらつきが大きい
編入試験には専門科目が出ることがあり、大学ごとにその専門科目の教授が作問をしています。そのため、教授の異動によって作問者が変わると問題の傾向が大きく変わることがあります。
また、近年編入試験の受験者が増えた影響からか、試験の難易度が年々高くなっている大学がほとんどです。
試験難易度が急に高くなると、募集定員を明確にしていない大学がほとんどであることも相まって、その学科の合格者が極端に少なくなることがあります。
実際に、昨年度は十数人合格していた学科で試験難易度が上がり、合格者が2名になったということもありました。
メリットも大きいけれど、デメリットもいろいろあるんだね…
就職ともよく比較するのが大事だね!
まとめ
編入試験は国公立大学に進学できる確率が高いという大きいメリットがある一方で、様々なデメリットも持ち合わせています。
編入試験は「運に大きく左右される試験」だと私は思います。
例年であれば受かるレベルの実力をもった友人が、試験難易度や志願者数の急上昇で不合格となってしまったといったことが何度もありました。
高専にまだ入学しておらず、偏差値の高い国公立大学を目指すことを最優先にするのであれば、一般の高校に進学することをお勧めします。
もちろん、高専に魅力を感じていて、大学のブランドに強く執着しないのであれば、高専は選択肢の一つとしてぜひ考えてみてほしいです。
進学を目指している高専生はひたすらに勉強すること、技科大などの受かる確率の高い滑り止めを受ける、もしくは推薦入試を受けることが大切です。